翻訳前に直す。固有名詞・数字・文化の補足

海外向け翻訳の前に直すべき、固有名詞・数字・文化補足の実務ポイントを解説します。

更新 2026-10-07 ・ PR PASSPORT編集部

翻訳の品質問題に見えるものの多くは、元原稿の未整理です。固有名詞、数字、文化の前提が揺れていると、どの言語でも壊れます。翻訳前に直す項目をまとめます。

固有名詞を固定する

社名、製品名、人名、地名の英語表記を一覧にします。表記ゆれは、検索でも記事でも不利です。

商標の大文字小文字も統一します。略称を使うなら、正式名称を初出で併記します。

項目 翻訳前に固定すること 放置すると起きやすいこと
固有名詞 社名・製品・人名の英語表記一覧 検索でも記事でもゆれる
数字 値・期間・単位・比較対象 どの言語でも意味が壊れる
文化補足 賞・制度・地名の短注釈 現地読者が前提を取れない
略称 初出で正式名称を併記 編集部の負担になる

数字を定義する

翻訳前に原稿を直す作業のイメージ

数字は、値そのものより定義が重要です。

曖昧な「約」「前後」は、可能な範囲で幅を明示します。言えない数字は書かない方が安全です。

文化の補足を足す

日本の読者には自明でも、海外では補足が必要なものがあります。

長く書く必要はありません。一行の注釈で十分なことが多いです。

翻訳に渡す前の手順

  1. 固有名詞表をつくる
  2. 数字表をつくる(定義付き)
  3. 文化補足を本文か脚注に置く
  4. 問い合わせ言語を決める
  5. その後で翻訳・生成に進む

この順番を守ると、後工程の手戻りが減ります。

生成後にもう一度見る

機械翻訳や自動生成のあとも、同じ3点を見直します。固有名詞の崩れ、数字の単位、文化補足の欠落です。

「訳が自然か」だけ見ると、事実の誤りを見逃します。事実チェックを先にします。

用語集を残す

一度直した固有名詞と数字は、社内の用語集に残します。2本目以降の翻訳で、また揺れないようにするためです。

スプレッドシートで十分です。列は「日本語」「英語」「現地語(必要なら)」「注意」。更新日を入れ、古い表記を使い続けない運用にします。人が変わっても破綻しにくくなります。

文化補足の書きすぎに注意

補足は必要ですが、本文を注釈で埋め尽くすと読めません。一行で足りる説明は一行にします。詳細が必要なら、FAQや会社概要へ移します。

また、補足の内容が古くなることもあります。制度が変わったら、用語集と合わせて更新します。翻訳前の直しは、一度やれば終わりではありません。発表のたびに、固有名詞・数字・文化補足の3点を通す習慣が、品質を支えます。生成AIを使う場合も、同じ3点を入力前に整えると結果が安定します。道具が先ではなく、整理が先です。

日本企業向けの実務メモ

翻訳前の直しは、地味ですが投資対効果が高いです。固有名詞表、数字表、文化補足の3点を先に整えると、あとの言語が増えても管理できます。逆に、未整理のまま言語を増やすと、修正が言語数倍になります。用語集はスプレッドシートで十分です。更新日と注意欄を必ず付けます。生成AIや機械翻訳を使う場合も、入力前に3点を整えると同じ品質方針を守れます。生成後は、また同じ3点を見ます。自然さのチェックは、そのあとの任意です。事実が間違った自然な文章が、いちばん危険です。文化補足は書きすぎず、一行で足りるなら一行に留め、詳細は補足欄へ移します。

関連して押さえること

このテーマでは、完璧な大計画より、確認可能な一次情報を先に置くことが効きます。私たちが勧めるのは、既存のプレスを事実型に直し、多言語で見に来られる状態をつくる順序です。媒体への個別交渉はそのあとに回せます。売り上げや掲載を約束する文は書かず、読者が検証できる材料を渡すことに集中します。まずは1本、公開前の確認まで通してみてください。社内では、誰が固有名詞を通し、誰が数字を通し、誰が最終公開するかを決めておくと、再発防止になります。

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